どり
□拍手小話
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◇バレンタインデー〜uL編〜
バレンタイン一色の空気の中、学校に向かう。
クラスに入ると浮足立った雰囲気をよりいっそう感じる。
それに呆れながらも自分もその浮足立っている一人だということに気付き苦笑する。
かばんの中にはチョコが入っている。友チョコと義理チョコ、それに本命…
友チョコは昼休みに、義理チョコは放課後のテニス部の部室で渡す。
昼休みは友達と賑やかに昼食を食べ、チョコを交換する。
可愛いラッピングを丁寧に解き、１粒食べる。
「おいしい！」
「こっちもおいしいよ」
甘いチョコに舌鼓を打ちながら会話を楽しんだ。
放課後の部室。
「みんないる？」
「あれ？どうしたの？」
部室を尋ねると不二君が聞いてくる。
「チョコの宅配よ。私からのね」
ニッコリ笑いながら入る。
「今日は皆休み時間のたびにいなくなってたから、部室まで押しかけました」
そう言って国光の所へ向かう。
「はい、これ」
少し大きめの袋にいっぱい入ってるチョコに眉をしかめる国光に苦笑する。
「１番上が私から。その下は…」
「わかっている。…ありがとう」
下のチョコはコウあてに届いたもの。言葉を濁して伝えると了解したようにお礼を言ってきた。
「どういたしまして。で、これは皆さんに」
そう話しながら配る。
「ありがとにゃ！」
「ありがとう」
お礼を言われながら配る。そしてとうとう本命の番。
「はい、不二君」
「ありがとう」
そう言いながら微笑まれた。内心でその笑顔は反則！と思いながら、表面は平然と笑顔でどういたしましてと答える。
配り終えてから部活頑張ってと声をかけて部室を出る。
国光も続いて出てきた。
そして僅かに屈んで耳元で囁かれる。
「不二に渡せてよかったな。それも微笑み付きで喜んでもらえて」
そう言い残して去っていく国光に固まる。一瞬にして顔が赤くなってしまい、思わず叫んだ。
「この、ドＳ国光〜！！」