どり
□拍手小話
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◇partner番外
「っ…!」
「どうした?」
鋭い痛みを感じ、思わず声が漏れた。近くにいた国光はそれに気付き、声をかける。
「ちょっと…」
あははとわざとらしく笑いながら逃れようとする。
でも、そんなことを絶対させない国光は逃げないように手首を掴み、顔を覗き込んでくる。
「どうした?」
再び同じ質問。でも、今度はしっかり目を見てきて、嘘をつけない状態に…
「うぅ…国光のバカ」
嘘をつけない状況を作った国光に悪態をつく。それに全く反応せず、じっと見てくる。
それに視線を反らせながら、小声で話す。
「寝違えたみたいなの…」
「…首か?」
「首から肩にかけて」
じっと見てくる視線と事実を知らせたことに恥ずかしくなる。
「えっ!」
顔を反らしたままだったので反応が遅れた。
今の状態を理解して焦って顔が赤くなる。
今の状態=国光の手が首から肩にかけて這っている。それも服を軽くはだけさせて…
「くっ、国光!?」
「骨には異常なさそうだな…」
「ちょっ…ここで確認しないでっ///」
ここはテニスコート。今は部活中。つまり、青学のテニス部員がいるわけで…
昔から怪我などのときには国光に手当してもらっているので彼の行動は慣れているといってもいい。
だけど、それは2人きりか幼なじみしかいないとき。
こんなに大勢の前で、それが手当のためとはいえ、軽く服をはだけさせられたうえに、素肌に触れられるのは恥ずかしすぎる。
国光の冷たい手が首から肩にかけて、軽く押したり撫でたりする。それに反応しないように唇を噛み締める。
そんな私の態度と周りの視線でやっと今の状況を認識した国光。
やってしまったというような表情で見てくるので、ため息をつく。
「国光…」
「悪い」
いかにも罰の悪そうな顔で謝ってきたので苦笑するしかない。
無意識に行動していたのはわかっている。それに苦笑しながらスミレさんを見ると、部室を指差された。
「国光、部室行こう」
「後で走るぞ」
「当たり前。手当よろしく」
「ああ」
端から見たらいつも通りだけど、私からしてみれば困ったような表情を浮かべた国光と一緒に部室に向かった。
取り残された部員はというと…
「手塚って、さ」
「大胆?」
「というより天然っす」
その言葉に皆頷く。
「慣れてたな」
「つまり、あんなことは日常茶飯事ってこと?」
「スキンシップにしては…」
「それ以上言うなよ。免疫ない奴もいるんだ」
不二と乾、越前の会話。
驚きすぎて逆に冷静になった彼ら。この会話の後、苦笑しながら顔が赤いメンバーや固まっているメンバーをつっつき、練習を再開させるのでした(笑)