白い天球儀2

□小休憩
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「柳、氾への見舞いにあの嫌がらせ以外に思い付かなかったのか」

「水月の見舞いには二人で行ったのか?…私は嫌がらせのつもりは少しもないのだが?」

「嫌がらせだろ(笑)」

「だよな。あの数は凄かった(笑)私は食べやすい果物にしたぞ」

「まともに食えるかも分からぬのに菓子や果物ではあるまい」

「ならば絹とか見舞いらしきものがあるだろう。寝込んでいるなら暇潰しに草紙でもよいな」

「水月とは趣味が重ならないのに選びようがあるか。第一業者を呼んで見立てようにも、私も寝込んでいたのだぞ」

「ならば香などでも良いだろうに」

「…勘弁しろ。あいつに贈れるような、そんな腕など持ち合わせてはいない」

「で、嫌がらせに至ったのか(笑)」

「お前らしいな(笑・無難で)」

「楽しそうだね、何の話だい?」

「………(眉間に皺)」



***

「寒いな」

「おい、傷を冷やすなよ」

「ああ、そうは言っても…」

「柳ちょっと待ってろ。おーい、氾」

「なんだい?」

「温石2つ持ってたら1つ貸してくれ」

「いいけど(懐から)」

「ほら、柳」

「ぶっ…」
「ぶっ……」

「君たち、何なんだい?(黒微笑)」


***

「嫌がらせって?」

「だろう、部屋いっぱいのあの花の数は尋常じゃなかったろう?」

「私は楽しかったよ?
この寒い季節に趣味の良い花が毎日届くなんて素敵じゃないかい?」

「しかし部屋中、柳からの花だらけだったろう。ほかからは届いていなかったのか」

「花はかなり届いていたんだよ。
香りのきついものや、鮮やか過ぎるものもかなりあって部屋の色調を崩すから別室へ移していただけで。
それに比べて彼はからの物は鉢や飾り布は品よく控えめで、統一もされていたからそのまま並べても美しかったしね。
そう考えると方淵は趣味が良いと思うよ」

「言われてみれば穏やかで柔らかな色合いが多かったな」

「うん…でも原色は分かるけど不思議と全てが真白い花もなかったな。ねぇ、方淵どうして」

「…貴様の心象で選べばああなっただけだ。他意はない」

。oO(ほんわり)
。oO(ふわふわ)
。oO(のほほん)

「…納得した」×2
「だろう?」

「何故?!」

***

「氾、趣味の悪い見舞いの品って例えばどんなのが届いていたんだ?」

「まむしやスッポンなどの強壮剤や姿をそのまま漬けた酒。訳の分からない薬の類いも恐ろしかったかな」

「…………。」×3

「他にも色々あるけど、花ならば…そうだね、深紅の美しい冬薔薇が届いたよ。柳経倬殿から」

「は?」

「高芯で巻きの見事な物なんだ。この冬にあれだけの美しい薔薇を目にできたのは流石は柳家と感嘆してしまったよ。
だけど、色彩の主張が余りに激しくてね。
妹がいたく気に入ったのでそちらの屋敷へ飾らせてもらっているよ(にっこり)」

「怪我人に深紅…の薔薇だと?」

(花言葉は確か…。何より私ならば血を連想しそうだ…。いや、いやいや考えすぎだ。あの兄(馬鹿)のことだ、きっと見栄えと自己陶酔と氾家…というか、水月への(雅的な)対抗意識だろうか…)

額を押さえる方淵に宗と魏の二人は同情して背中をぽんとする。

「まぁなんだその、うん、経倬殿らしい花じゃないか、なぁ」

「あの馬鹿、本当にどこまで馬鹿なんだ…」



end
20140308

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