白い天球儀3

□小休憩
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「ポッキーの日だって」
「………」

馬鹿かこいつ?と言わんばかりの嫌そうな顔で水月を睨み付けたというのに、本人はどこふく風のようにニコニコとしている。

「今年は例の遊戯をやってみるかい?」
「やらん」
「おや?即答かい?連れないね。何故だい、方淵」
「何故、菓子を食いながら口付けなければならん」
「だってそういう遊戯じゃないか」
「……貴様は気持ち悪く思わないのか」
「え?気持ち悪いって、何のことだい」
「菓子が口の中で泥々に溶けている状態だというの「……馬鹿かい、君はっ!誰が舌までっ」
「……私はやらんぞ」

照れながら眉間の皺を深くした方淵を見ながら、恥ずかしいのはこちらだと思わざるえない。

「うん、まあいいけどね」

持っていた赤い箱を眺めているといきなり顎を取られて唇を奪われて、軽く舌を舐められるとすぐに解放された。
目を開けたまま受けて呆けていると「焦らされるだけでなく、第一それではつまらんだろう」と言われて水月はクスクスと苦笑してしまった。

「もう、君ったら。呆れた。…そうだ」
「なんだ?」

ピリリリ…

箱を開けてポッキーを1本取り出すと軽くチュッと口付けて。

「方淵、はい」

ニッコリと微笑みながらその1本を方淵の唇に押し付けてきた。

「ね、食べてくれるだろう?」
「なっ…」

仕方無しにされるがままに最後まで食べきったときに指先が唇の食べかすをそっと祓った。

「………満足か?こっちの方がよっぽど恥ずかしいぞ」
「フフッ」

どちらからともなくもう一度軽く唇を寄せるとチョコレートの香りがふんわりと二人の鼻を擽った。

end
20141111

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