PHOENIX MYTHOLOGY〜転生神話〜
□参――コーネル 1
2ページ/3ページ
ふとキーシュとイザードはリースへと目をやり、自らの瞳を見開く形となった。
そこには苦しみや憎しみの気持ちを必死に押し隠しているふうなリースの姿があった。
自らの美麗な顔のいたる所を酷く歪ませている。
眉は寄せられ、形の良い唇は引き結ばれているのだ。
その理由を理解しているキーシュは痛々しいものを見るように目を閉じ、リースから視線を外した。
が、事情を知らないイザードはリースから視線を外すことは出来なかった。
自分は何も知らず、故に何かをしてやることもできない、とイザードの握られていた拳は、己の不甲斐なさに固く握りしめられていた。
****
程なくしてコーネル国側の者達が数人姿をキーシュ達の前に現し、一応外面では歓迎の雰囲気で出迎えられた。
その中には、外交長――ローズ談ハゲ――であるアルカナの姿も確認出来た。
「お久しぶりでございます、キーシュ様。
そしてイザード様も。
……さて、我らが陛下が既にお待ちでございます。
ささ、こちらへ」
そうアルカナは口を開くと、キーシュとイザード、そして護衛であるリースを王宮ゼブリス城内へと招き入れた。
****
――ゼブリス城内
長い廊下を進んで行く間、リースは城内の地理を正確に頭に叩き入れた。
何があるかわからない危険な国である。
用心するに超したことは無い。
そのリースの目は、寸分の隙間、罠や仕掛けの類<たぐい>も見落とさなかった。
そんなリースとは別の観点から、イザードはコーネル国を見定めていた。
(流石にユリガル<うち>とまではいかないが……随分と豪華だな。
……確かコーネルは最近発展を遂げてきた筈だが……)
イザードはそう思案していた。
しばらく酷く長く感じた廊下を歩き、その突き当たったところに有る部屋に案内された。
そこは応接室らしく、一つの大きなテーブルが部屋の中央部に配置され、その周りには豪華なソファーがテーブルを囲むように置かれてあった。
キーシュとイザードはアルカナの誘導によりそのソファーへと座し、リースはその斜め後方に直立した。
コーネル国の外交長であるアルカナは反対側に座し、他愛の無い会話をキーシュとイザードに持ちかけて喋りだした。
.