PHOENIX MYTHOLOGY〜転生神話〜

□弐――嵐到来 4
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「いえ、ただ単に……」



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しばらくの間状況説明を聞いていた二人はその説明を聞いて、なるほどと相槌をうった。


「キーシュ様が伝えてらしたのでは?」


「そういうリースこそ、言って無かったのか?」


二人は互いの問いに、沈黙することで答えた。
結局はただ単に「誰かが伝えているであろう」という見解のズレによる行き違いなのであった。
それが九年も続いていたのだから並大抵のことでは無かったが。


「うぅ……。
じゃあなんでリースはいつも軍服を着てないの?」


一人忘れられていた王女ローズは半泣きになりながら抗議の声をあげる。

そんなローズに教育係り兼遊び相手兼近衛のリースはあら、と口を開いた。


「じゃあ、勉強中や休憩中もこの堅苦しい軍服を着ていて欲しいの?」


サラッと言い放ったリースに対しローズはと言うと、うっ、と的確に自分の心理を見抜いたリースの言に涙を浮かべながら後ずさることしか出来なかった。

リースはその微笑ましい様子を微笑んで見ていた。


「まぁ、その話は一旦置いておいて、先程の話の続きだ」


キーシュは微笑んでいた表情を一変させ、厳しい顔つきに変えた。
それに伴って軍人であるリースとフィルスは顔を変えた。

――そして第一王子であるイザードも。

ローズは一人取り残された気分ではあったが、自分の程――ローズは未だ参政していない――をわきまえていたので、静かに三人の会話に耳を傾けるに留めた。


「……そういうわけであるからイザード、お前も会談には連れて行く。

ただしフィルスはローズの警護をしてくれ」


リースを除けた三人の視線が一気にキーシュの元へと注がれる。
その中でとりわけ青ざめたフィルスが若干震えた声で抗議の言葉をあげた。


「恐れながら陛下、危険極まる会談に第一王子を伴わせると申されるのですか!?
しかも警護である私をお外しになられて」


王位継承者であるイザードの安否問題である。
その護衛である自分が付いて行けないとはどういうことかとフィルスは混乱する。
その疑問を共有するために隊長であるリースに視線を投じるが、その表情で王と同じ考えだと悟り、フィルスは眉間に皺を寄せた。


「危険だからこそ、イザードを連れて行くのだ。
フィルス」


キーシュの言にイザードは何かに気づいた様子であったが、未だピンときていない様子のフィルスとローズに、リースは説明を加えた。


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