PHOENIX MYTHOLOGY〜転生神話〜

□弐――嵐到来 3
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「!?」


刺客は慌てて剣を振るがリースの残像を斬っただけで、リース自身には傷一つ付けることが叶わなかった。

――逆に自らの足に一線の赤い筋が刻まれていたのに気付いた。
刺客は激痛に襲われ、呻きながら沈んでいった。


「一」


リースは低く言い放ち、未だに自分目掛けて仕掛けて来ようとする六つの影に目を向けた。


(……頭を倒すのが得策……か)


そう考えたリースは二人目の相手を選んだ。
二人目の相手は一人だけどこか他の刺客とは違う出で立ちをしていた。
試しに――それでも正確に急所へと――長針を投じてみるが、すぐに素早い動きで落とされた。


(やはりこいつが頭か)


リースは確信し、先程よりも更に速いスピードで突進した。

一撃目の攻撃は単純に切りかかるもので、頭と思われる刺客の剣と交わった。
ギチギチという鍔競りの音が耳に不快な音を伝える。
後ろから別の刺客が切っ先を向けている事に気づき、リースは一度正面の剣を押し返すと後ろに体を回しながら跳び、背後の刺客の顎に蹴りをあびせた。
よろめいた相手の足を払い横転させると二方、横手の刺客に針の雨を見舞い動きを封じ、再び頭へと剣を振り下ろした。

頭は今度は受け止めず弾き返し、苦無を投じて来た。
全てを避けきれず、リースの体に何本か掠ったが怯まず、上体をかがめて足を払い、予想外の行動にバランスを崩した頭へ横凪ぎの剣戟を繰り出す。
一太刀目は何とかかわされたが相手に体制を立て直す隙を与えずに、すかさず二撃目を振るった。


「二」


刺客の胸には一線の筋が入り、恐らく頭であろうその男は片膝を折って呻いている。
それを見た他の五人は息を呑み動けない二人を担ぎ上げ素速くユリガル王の執務室を去った。


「逃げ足だけは速いようだ」


リースはあえて追わずに呟いた。


「コーネル国め。
いつまで経っても変わらぬか!!」


リースは一息つく間もなく剣を鞘へと収めると、倒れているであろう二人の部下の元へと歩み始めた。
息を切らして居ないことを祈りながら。

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