PHOENIX MYTHOLOGY〜転生神話〜

□弐――嵐到来 2
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「今回の訪問の目的は……取引、だそうだ」


「取引ですか?」


「何やら我が国ユリガルを手に入れたいらしい、コーネル国は。
どういう了見があってか分からぬが、傘下に入らぬかと誘って来たよ。

南の大国である我が国に対して」


「傘下に……入る?」


キーシュは頷き、リースは皺が出来る程酷く眉を中央に寄せた。




****
――一方ローズ達は先程の人工庭園止まっていた。


「お兄様、まだ諦めていなかったのですか?」


ローズはイザードに向かってあからさまな溜め息をついた。


「……何をかな?」


対してイザードは意を解さない様で、ローズの方を向き直った。
その様子にローズは再度溜め息を吐き出し、自分の冷めた紅茶とイザード、フィルスの紅茶を淹れ始めた。


「何をかって、リース以外の何が有るって言うんですの!?」


「……何の事だい?」


更にも惚ける兄に、ローズの言葉は自然と強くなる。


「隠しても無駄ですわ!!
お兄様のその碧い瞳はリースを見る時はとても優しい色をするんですから!!
ね!?フィルス!?」


「えっ」


藍い軍服を身に纏った若い近衛兵は、まさか自分に話が振られるとは予想しておらず、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
恥ずかしいのか咳払いをしてごまかそうとしている。


「……そ、そうでございますか?
ローズ様」


「そうよ!絶対に!!
ね、兄様?
実はそうなんでしよ?
白状なさったらどうです?」


すでに暴走を始めている妹に苦笑し、イザードは肩を竦める。

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