PHOENIX MYTHOLOGY〜転生神話〜
□弐――嵐到来 2
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「今回の訪問の目的は……取引、だそうだ」
「取引ですか?」
「何やら我が国ユリガルを手に入れたいらしい、コーネル国は。
どういう了見があってか分からぬが、傘下に入らぬかと誘って来たよ。
南の大国である我が国に対して」
「傘下に……入る?」
キーシュは頷き、リースは皺が出来る程酷く眉を中央に寄せた。
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――一方ローズ達は先程の人工庭園止まっていた。
「お兄様、まだ諦めていなかったのですか?」
ローズはイザードに向かってあからさまな溜め息をついた。
「……何をかな?」
対してイザードは意を解さない様で、ローズの方を向き直った。
その様子にローズは再度溜め息を吐き出し、自分の冷めた紅茶とイザード、フィルスの紅茶を淹れ始めた。
「何をかって、リース以外の何が有るって言うんですの!?」
「……何の事だい?」
更にも惚ける兄に、ローズの言葉は自然と強くなる。
「隠しても無駄ですわ!!
お兄様のその碧い瞳はリースを見る時はとても優しい色をするんですから!!
ね!?フィルス!?」
「えっ」
藍い軍服を身に纏った若い近衛兵は、まさか自分に話が振られるとは予想しておらず、思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
恥ずかしいのか咳払いをしてごまかそうとしている。
「……そ、そうでございますか?
ローズ様」
「そうよ!絶対に!!
ね、兄様?
実はそうなんでしよ?
白状なさったらどうです?」
すでに暴走を始めている妹に苦笑し、イザードは肩を竦める。
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