PHOENIX MYTHOLOGY〜転生神話〜

□弐――嵐到来 1
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――翌日

王宮内にある人工庭園の泉にリースとローズは居た。


「それにしても、やーっと帰ったわね。
あのハゲ」


ローズは庭園内に備え付けられた白い大理石のテーブルに肘をつくと、いかにも不機嫌といった体<てい>でリースの方へと視線を投じた。
その気怠い感じを醸し出しているローズを見てリースは思わず苦笑した。
そして、大理石の上で良い薫りを立ち上らせている香茶のカップを口まで運び、口を付けてからローズに向き直った。


「そう言わないの、ローズ。
向こうだって居たくて居たわけでは無いと思うし。
……それに、ハゲだからって邪険にしないの。
わかった?」


そういうとこともなげに再びカップに口を付けた。


「そう言ってもねっ……!!
……!?
居たくて居たわけでは無い……?
それってどういうこと?」


ローズは不可解な言葉への疑問を発言者に問いかけた。
リースは一度視線だけローズへと向け、再びカップに戻し香茶を一口口に含み飲み干すと口を開いた。


「そもそもこの会談自体がおかしいのよ。
色々な面において」


話し始めた途端にリースの瞳は普段の優しさに溢れた色ではなく、どこか厳しく倹を帯びた色へと変わっていった。


「考えてもみて。
会談に来たのは何処の国?」


「……コーネル国」


「そう。
決して小さいとは言えないコーネル国。
今繁栄している国の一つよ。
物的支援も人的支援も必要としない国」


リースは立ち上がり、座っていたテーブルの近くを歩き始めた。


「しかもコーネル国は宗教心がとても強い国。
吉凶などを普段何をするにも重視している。
それが昨日・今日、……かつてこの大地を占領せしめんとした“悪魔”と呼ばれるもの達が封印を破って乗り込んで来たと言われる日になぜ行動を起こしたのか。
そして何より……」


リースが次の一言を発しようとした瞬間、庭園内に入ってきた者が居た。
リースは全身で気を配り危険に備えた。
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