PHOENIX MYTHOLOGY〜転生神話〜
□壱――碧い瞳 2
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採用テストから2日経った日の真昼、キーシュの執務室に学技官長[学技官省――国の学問についての統制をとる官庁、現代の文科省のようなもの――の長官]であるスフィリア・アームが訪ねてきた。
「キーシュ様、先日行われた採用試験の結果をお持ちしました」
スフィリアは一度礼をすると自分の持っていた大きめの茶封筒から一枚の紙を取り出し、キーシュの前に差し出した。
「今回はかなり優秀な候補者が居ました。
……史上最高の点数を取った者がいます」
スフィリアの言葉にキーシュは嫌な汗が背中を滑り降りるのを感じた。
何かを感じながらも、キーシュはスフィリアに問うた。
「……その者の歳は……いくつだ」
「……はい、かなり私も驚いたのですが、どうやら
――十一歳のようです」
「……!!」
キーシュはある意味予想していた答えが返ってきて、かなり愕然とした。
彼女が言っていたのはそういう事だったのだ。
″テストをしてみればわかる″
それは暴挙でもなんでもなく、自信を持って出した言葉だったのだ。
キーシュはもっと早くに気付くことのできなかった自分に腹を立てた。
「私にはまだまだ人を見る目がないようだよ、スフィリア」
苦笑してキーシュはスフィリアに語りかけた。
しかしスフィリアも苦笑して首を横に振った。
「そんなことは決してございません。
今回の件につきましては、誰もが予想することは不可能でした」
「そうか?
私はそうは思わないよ。
……私は今回の事で色々学ぶ事ができた。
人を見かけで判断してはいけない。
外見に捕らわれてはいけない。
国を治めていく上で重要なことであると解っていたつもりだったんだが」
キーシュは再度自嘲した。
スフィリアは目礼してキーシュに問いかけた。
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