PHOENIX MYTHOLOGY〜転生神話〜
□弐――嵐到来 3
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(……六、いや七か)
リースは自分の剣の柄に手を滑らせ、冷静に状況を分析すると部屋の外に居た部下の名を叫んだ。
「ディートリッヒ!カルツ!!」
しかし部屋の外からは微塵も反応は無かった。
外の二人はこの黒ずくめの集団にやられたようだ。
リースはちっと舌打ちすると黒ずくめの男達と絶妙な間合いを取りながら小声でキーシュに話かけた。
「陛下、私が例の隠し扉までの突破口を作ります。
それからはそこから直接軍部へと避難してくださいませ」
キーシュは口元を引き締めると情け程度に抜きはなった細剣を持つ手を胸辺りに持っていき頷いた。
肯定の合図であった。
それを皮切りにリースはまず正面に立ちふさがっている刺客に斬りかかった。
刺客は後ろに跳びすさり、不安定な状態のまま楔を数十個正確に投げつけてきた。
しかしリースは全てを見極め、見事な剣捌きでそれをことごとく撃ち落とした。
そして自分も懐から長針を取り出すと、後方から攻撃を仕掛けてきた刺客に投げつける。
その間にも走ることを止めず背後を一切振り返らずに一直線に隠し扉を目指す。
そして遂に目的の場所に到達した。
「キーシュ様、お速く!!」
キーシュは素速く仕掛けを作動させるとそのまま奥へと走りだした。
それを確認するとリースは、キーシュを逃すまいと殺到してくる刺客達を一瞥し、不敵に笑った。
「さあ、私が直々にお相手してさしあげましょう。
そして目的を話してもらいましょうか。
……どこからでもかかって来なさい」
凄まじいリースのオーラに刺客達は一瞬怯むが、意を決したように一斉に飛びかかってきた。
「相手の力を計るくらいの力量は有るようね」
口端を少し上げるとリースは驚く程速いスピードでその内の一人の前へと進み出た。
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