PHOENIX MYTHOLOGY〜転生神話〜
□壱――碧い瞳 1
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――ユリガル国首都サイティス
四大国の一つである南の大国ユリガル城下の都サイティスは他の三都と比べても結して劣らず、繁栄している。
これも一重に国王のおかげであると取って良いだろう。
ユリガル国王であるキーシュ・リーリフは稀代の名君と言われ為政者としての能力は高く、加えて情も篤く国民から絶大な人気を得ている人物であるのだ。
そんな人通りが多く賑やかな都であるサイティスの一角にある広場で、何をしているのか多くの人が群がるように何かを取り囲んでいる。
不思議な光景であるが、どうやらそれは一つの官板――ユリガル国王自らの布令――のようである。
大きめの家型の板に、板に劣らぬほどの大きさもある紙が貼られてある。
そんな官板を見ている大人達の間に、やっと十の歳に入ったであろう少女が食い入る様にそれを見ているという珍しい光景を、誰もが気に留めることは無かった。
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