PHOENIX MYTHOLOGY〜転生神話〜

□四――思慕 1
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「『―――!!』


十一年前、当時はまだ科学大国が存在していた頃。

――忘れもしないその年、九回目の月が姿を隠した日だった。
当時九歳だった私は今までに味わったことのないような苦しみに苛まれました。


既に国で一番の頭脳を持つと言われ、中央聖協会より頭脳神“マリーク”の異名を拝命していた私が友好関係にあった国との外交のために国を空けていた、ちょうどその時でした。

――科学大国ユリスルは隣国コーネル国の大軍勢に攻め入られ、その“ユリスル国”としての存在を消されたのでした。

辺り一面に広がる廃土。
どの様な悲惨なことが起こったのかと容易に想像することが出来る鉄くず。
ボロボロになった人の亡骸。
誰とも見分けのつかなくなった人骨。

いくら天才と呼ばれ数々の問題に携わってきた私も、裏を返せば唯の九歳の子供。
自分と同じように息を飲み、呆然としながら辺りを駆け巡る従者も目に入らなかった。

腐敗したかつて自分と同じであった“モノ”の発する臭気とそれに群がるおびただしい数の鳥と。
そんなものすら気にならなくなるような一面の廃土。
ここがかつてのあの綺麗な花を咲かせていた原野であるとは思えないような場所で。

――絶望、困惑、怒り、悲しみ。
――そして自分の無力さ。

様々な感情が頭の中を目まぐるしく駆け巡り、腰は砕けて立つことすらままならなくなり、廃土に膝を着きその土を握り締めた。
自らの内より零れ出る大量の水滴を拭うでもなく、ただただそこで肩を震わせることしか出来なかった。

しかし何故?
混乱する頭を少しづつ落ち着かせ考えを巡らせた。
先ほどまで辺りを駆け巡っていた従者が悲しみや絶望を抑え、自分の心配をして傍に控えてくれている。
そのことが私に無理やり落ち着きを与えた要因となってくれたのかもしれない。
この従者をどうにかしてあげるためにも、と必死に頭を回転させた。

何故自分が少しの間国を空けただけでこれほどまでの荒廃が訪れるのか。
――少し考えて、答えはすぐに出た。
ユリスル全土に敷かれた自爆装置。
それを父や母は使用したのだろう。

――それ以外の退路を断たれ……」


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