PHOENIX MYTHOLOGY〜転生神話〜

□参――コーネル 4
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女の体に獰猛な牙を突き立てようとしたマタラコブリを見た瞬間、やはり俺は俺自身を捨てきれていないのだと、そう実感させられた。



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「っーーー!!
くそっ」


ユウハはリースへと牙を煌めかせているマタラコブリを一瞥した後、素早い動作で自身の横に置いてあった見た目も実用性も一級品であろう剣をひっつかむと、マタラコブリへとその白銀の刃を閃かせ、その頭を突き刺した。

――しかしそう思ったユウハが突き立てた刃の先には何の存在もなく、ただその白銀が地からのびているだけであった。
ユウハは紫の目を見開いた。

――見た。
ユウハは見たのだ。

今にもマタラコブリがその細頸に襲いかかろうとした刹那、リースが有り得ない速さで腰に帯びていた軍事用剣を抜き、マタラコブリの頭に寸分狂わず突き立てたのを。


ユウハがしばらくの間今の出来事に呆然として瞳を見開いていると、リースが膝を折って地を見つめるユウハを見た。


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