PHOENIX MYTHOLOGY〜転生神話〜

□伍――帰結=始原 2
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かっと、狂気じみた目を見開き、セスナは今度は全てに聞こえるように声を張り上げた。


「この、我に逆らう賊共を斬り捨てろ!」


「……!」


それを聞いたセスナとイザードは息を呑んだ。
命令されたコーネルサイドの臣下達もあまりの命令に目を見開き、その場を一歩も動けずに固まった。

その中で一番に動いたのはリースだった。
いや、正確には何者かが動いた為の行動で、一番では無かった。
腰に帯びた剣を素速く抜剣すると、懐から針を取り出しキーシュの方へと投げつけ、駆けた。
キーシュは自らの後ろでガキンと金属同士が擦れあう音がして初めて背後に何者かが居ることに気が付いた。
急いで振り向くと、以前ユリガルで襲われた刺客と同じ様な出で立ちをした黒ずくめの集団が、キーシュと既に側に着いていたリース、抜剣したイザードとの三人を取り囲んでいた。

――その数、約二十。


それを目にしたセスナは狂ったように喚いた。


「殺せー!
この者どもを殺し、ユリガルを我等が物と為すのだ!」


セスナの狂った命令と共に、リースは叫んだ。



「貴様はどこまで愚かなのか!」


叫んだままリースはキーシュへと剣を振り上げる一人目の刺客へと突進した。
振り上げられた剣を自らの剣と交じらせ受け流すと、体勢を崩したその腹部を容赦なく柄で叩いた。
更に頭上に降ってきた剣を弾くと、肘で顔面を殴打。
その勢いを利用し、別方向から向かってきた刺客に叩きつけ二人を沈めた。
隣でイザードも華麗な身のこなしで刺客に剣戟を与えている。
同時に左右両方向から来た刺客を剣と鞘で押し戻しているのは流石と言うべきか。
流れるような動きには、全く隙がない。


そんな二人の見事な剣捌きにより、残る刺客は一人となった。
その男は味方が呆気なく伸びているにも関わらず、動揺する様子も無く間合いを計っている。
イザードが男に向けて構えをとったところで、リースは剣を持っていない左手でイザードを制した。


「イザード様、ここは私めに」


リースはこの男からただならぬ気配を察知し、先刻までよりも更に神経を研ぎ澄ました。

――すると不意に男が急に剣を振りあげて斬りかけてきた。
リースはすぐさま反応し、受け流そうと試みたが相手も甘くなく、弾くことしか出来なかった。


「――ちっ」


リースは左手で投げ針を男に投じるがそれも全て打ち落とされる。
男も暗器を取り出しリースへと投じる。

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