プレゼント

□秘密だ!
1ページ/6ページ






どこか子供染みた笑いを浮かべた癸生川は、多少ひきつった僕の頬を無遠慮にぱちんと両の手のひらで挟めた。


「いいかい、伊綱くんには絶対に言うんじゃないぞ」

「いいけど、なんで?」

「なんでも、だ」


僕はこれから何時もの様にどこかへ出掛けてしまうのだよ、
君は何も知らなかった、いいね。ここに来た理由も、手の中にある手紙のことも、これからの約束のことも。


「…わかった。でも」


僕が最後に、どうしても気になった事柄のみを端的に問うてみると、






『秘密だ!』



彼は爽やかに、そうとだけ応えたのだった。















.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ