プレゼント
□まわるように
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それは、永遠
まわるように
私達は同じ場所に
私達は同じハコの中に
同じ時間を
停まる事無く、廻る
「はぁー!?」
立帝大学研究室。飲み欠けのコーヒーを手に持ったまま、遥は大声を上げて立ち上がった。
「すみません。どうもその日までに論文が終わりそうに無いのです」
私は遥に謝るが、彼女はかなり機嫌を損ねたらしく、椅子に座り直してそっぽを向いてしまった。
(…やはり怒ってしまいましたか)
先週。久々に休みが入ったから、何処かへ行きたいと遥が言い出した。
軽い気持ちで、良いですよ、と答えたものの…予想以上に今書いている論文が長引いてしまっている。
…まるで幼い子供のようだ。
彼女の背中を見ながら、そんな事を思ってしまった。
「…何がおかしいのよ」
私の笑い声に気付いたらしく、遥は眼だけを動かして私を睨む。
「いいえ、…分かりました。何とか終わるように努力はしてみますから」
「ほんと!?…約束だからね!!」
こちらを向いた彼女の表情がぱっと明るくなった。
私は眼を細めてそれを見る。
「まったく…で、一体何処に行く予定なのですか??」
「…秘密よ。言ったらアンタ絶対行かないし」
「…はぁ」
…少し、嫌な予感がした。
*
デート当日。
遥と衛は、今年できたばかりという遊園地にやって来た。
「…うわぁ」
「………」
オープンしたばかりで休日だということもあり、遊園地には凄まじい数の人、人、人がひしめいていた。
人込みが苦手な衛は、普段絶対に来ない所だろう。
「…帰りましょう、遥」
「は!?ちょっと、逃げるな!!」
「よくこれだけの人が…目眩がします」
「遊園地なんだから当然でしょーが!!ほら、さっさと歩く!!」