プレゼント

□まわるように
1ページ/9ページ



それは、永遠


まわるように



私達は同じ場所に

私達は同じハコの中に

同じ時間を

停まる事無く、廻る



「はぁー!?」

立帝大学研究室。飲み欠けのコーヒーを手に持ったまま、遥は大声を上げて立ち上がった。

「すみません。どうもその日までに論文が終わりそうに無いのです」

私は遥に謝るが、彼女はかなり機嫌を損ねたらしく、椅子に座り直してそっぽを向いてしまった。

(…やはり怒ってしまいましたか)

先週。久々に休みが入ったから、何処かへ行きたいと遥が言い出した。

軽い気持ちで、良いですよ、と答えたものの…予想以上に今書いている論文が長引いてしまっている。

…まるで幼い子供のようだ。

彼女の背中を見ながら、そんな事を思ってしまった。

「…何がおかしいのよ」

私の笑い声に気付いたらしく、遥は眼だけを動かして私を睨む。

「いいえ、…分かりました。何とか終わるように努力はしてみますから」

「ほんと!?…約束だからね!!」

こちらを向いた彼女の表情がぱっと明るくなった。

私は眼を細めてそれを見る。

「まったく…で、一体何処に行く予定なのですか??」

「…秘密よ。言ったらアンタ絶対行かないし」

「…はぁ」

…少し、嫌な予感がした。





デート当日。

遥と衛は、今年できたばかりという遊園地にやって来た。

「…うわぁ」

「………」

オープンしたばかりで休日だということもあり、遊園地には凄まじい数の人、人、人がひしめいていた。

人込みが苦手な衛は、普段絶対に来ない所だろう。

「…帰りましょう、遥」

「は!?ちょっと、逃げるな!!」

「よくこれだけの人が…目眩がします」

「遊園地なんだから当然でしょーが!!ほら、さっさと歩く!!」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ