プレゼント
□バレンタイン小説A
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「………で、言われた通りに来ましたけど!」
どん、と机に置いたビニール袋。ばらばらと中身が溢れて、チョコレートやらバターやらが沢山出てきた。
遥は、にこやかに微笑む衛をき、と睨み付けた。
「…よく分かったわね。これからチョコ作るって」
「今までの経験と勘です。貴女何時も悩んで悩んで当日の午後に作る。且つ、失敗を見越して、多めに材料を買っておくでしょう」
図星な事ばかりさくさくと言われ、遥は徐々に小さくなっていく。
「う…、ま、まあいいわ!それで?どうするのよ、材料は持ってきたけど」
「いえ、ここでチョコレートを一緒に作ろうと思ったのですが。電話でお話した通り」
「は!?ここで!?」
反論しようとする遥の前に、華奈がすかさず入り込む。
「ごめんなさい遥様…!私が勝手なお願いをしたばかりに…」
目を潤ませて自分を見上げる華奈に、遥は…負けた。
「フォンダンショコラを、作ります」
研究室の隣。簡易的な台所は、2人が入ればいっぱいいっぱいの場所だった。
そこに、エプロンを付けた遥、華奈、そして衛。
「あの…私は見ているだけのつもりだったのですが…」
「はいそこ!ごちゃごちゃうるさいわよ!」
先ずは湯せんでチョコレートを溶かす。一緒にココアパウダーと、バターも溶かす。
「アンタはこっち」
衛に卵と砂糖を押し付ける。
「そっちも湯せんかけてね」
「………はい」
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