プレゼント

□バレンタイン小説A
2ページ/5ページ




――――――――――――――――――








「………で、言われた通りに来ましたけど!」


どん、と机に置いたビニール袋。ばらばらと中身が溢れて、チョコレートやらバターやらが沢山出てきた。


遥は、にこやかに微笑む衛をき、と睨み付けた。


「…よく分かったわね。これからチョコ作るって」


「今までの経験と勘です。貴女何時も悩んで悩んで当日の午後に作る。且つ、失敗を見越して、多めに材料を買っておくでしょう」


図星な事ばかりさくさくと言われ、遥は徐々に小さくなっていく。


「う…、ま、まあいいわ!それで?どうするのよ、材料は持ってきたけど」


「いえ、ここでチョコレートを一緒に作ろうと思ったのですが。電話でお話した通り」



「は!?ここで!?」


反論しようとする遥の前に、華奈がすかさず入り込む。


「ごめんなさい遥様…!私が勝手なお願いをしたばかりに…」


目を潤ませて自分を見上げる華奈に、遥は…負けた。















「フォンダンショコラを、作ります」


研究室の隣。簡易的な台所は、2人が入ればいっぱいいっぱいの場所だった。

そこに、エプロンを付けた遥、華奈、そして衛。


「あの…私は見ているだけのつもりだったのですが…」


「はいそこ!ごちゃごちゃうるさいわよ!」




先ずは湯せんでチョコレートを溶かす。一緒にココアパウダーと、バターも溶かす。


「アンタはこっち」


衛に卵と砂糖を押し付ける。


「そっちも湯せんかけてね」


「………はい」



.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ