プレゼント

□夜空
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手招きをする遥を見て衛は短く溜息を吐き、それからゆっくりと階段の方へと歩き出した。





「…っと、着いたー!!」

軽やかに最後の段差を登りきり、遥は奥の柵へと走り出す。

階段は意外と長く、まだ衛の姿は見えない。

「まったく…これだから運動不足だって言うのよっ」

ぶつぶつ言いながら手摺に手を掛ける。

「うわぁ…」

そして、目の前に広がる景色に息を飲んだ。

木の枝が開けて見えた街は、まるで光の海の様だった。それに繋がるように、ふと見上げた夜空にも沢山の星が瞬いている。

「遥??何処ですか??」

後ろから衛の声がして、遥は上を見たまま、こっちよ、と叫ぶ。

足音がして、衛が隣に来たのが分かった。

「これは凄いですね…。星空なんて、久々に見ました」

「そうね…って、アンタここ恐くないの??」

「何分暗いので…光以外はよく見えませんよ。只、貴女があの暗闇を二段抜かしで登って行くとは…」

衛を見ると、少々自分を呆れた様に見ているのが分かった。

「っ…。いいじゃない、どうせ誰もいないんだし」

そう言えば衛は目が悪かったっけ。いつも見る顔にメガネが馴染んでしまって、忘れていた。

…メガネ外した衛って、どんな顔だったかな。

「女性というのは、誰が見ているに関わらずもっと…わっ」

いきなり視界がぼやけ、衛は目の前にいる遥を見た。

「は、遥??」

手探りで彼女を探す。

周りの暗さの所為で、本当に何も見えない。
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