プレゼント
□夜空
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手招きをする遥を見て衛は短く溜息を吐き、それからゆっくりと階段の方へと歩き出した。
*
「…っと、着いたー!!」
軽やかに最後の段差を登りきり、遥は奥の柵へと走り出す。
階段は意外と長く、まだ衛の姿は見えない。
「まったく…これだから運動不足だって言うのよっ」
ぶつぶつ言いながら手摺に手を掛ける。
「うわぁ…」
そして、目の前に広がる景色に息を飲んだ。
木の枝が開けて見えた街は、まるで光の海の様だった。それに繋がるように、ふと見上げた夜空にも沢山の星が瞬いている。
「遥??何処ですか??」
後ろから衛の声がして、遥は上を見たまま、こっちよ、と叫ぶ。
足音がして、衛が隣に来たのが分かった。
「これは凄いですね…。星空なんて、久々に見ました」
「そうね…って、アンタここ恐くないの??」
「何分暗いので…光以外はよく見えませんよ。只、貴女があの暗闇を二段抜かしで登って行くとは…」
衛を見ると、少々自分を呆れた様に見ているのが分かった。
「っ…。いいじゃない、どうせ誰もいないんだし」
そう言えば衛は目が悪かったっけ。いつも見る顔にメガネが馴染んでしまって、忘れていた。
…メガネ外した衛って、どんな顔だったかな。
「女性というのは、誰が見ているに関わらずもっと…わっ」
いきなり視界がぼやけ、衛は目の前にいる遥を見た。
「は、遥??」
手探りで彼女を探す。
周りの暗さの所為で、本当に何も見えない。