プレゼント
□まわるように
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嫌がる衛をぐいぐいと引っ張りながら、遥は勢いよく園内へと入って行った。
遊園地には、定番であるメリーゴーランドやコーヒーカップの他に、最新式のジェットコースターなどがあちこちに点在していた。
しかし、どのアトラクションにも長蛇の列ができていて、どれも2・3時間待ちのようだ。
「これも2時間待ち…??もぅっ!!これじゃあ何にも乗れないで終わっちゃう!!」
遥はそう言って、1人でどんどんと歩いていってしまう。
衛はその後ろをついて行くので精一杯だ。
「は、遥…少し休ませて下さい…!!この人数ですから、空いているアトラクションなんて無…」
「あ!!あった!!あれなら空いてる!!」
遥が指差した先には、“お化け屋敷”の看板があった。
確かに、並んでいる数は他より少ない。
「お化け屋敷…ですか」
「なあに??まさかいい歳して怖いとか??」
からかう遥に衛は深く溜息を吐き、
「貴女こそ…恐怖のあまり、お化け役の方々を殴り倒したりしないで下さいよ??」
遥は衛を思い切り蹴り跳ばした。
*
…予想外だった。
お化け屋敷に入る前の冗談は、あながち嘘ではないつもりだったのだが。
一緒に屋敷内へと入った遥は、周りが暗闇になった途端、急に私の手を握ってきた。
「…遥??」
「…い、いいから、黙って、歩いて」
俯きながら彼女は歩き、お化けが出てくるとビクッと震えて、握っている手に力を込めた。
あぁ、強がっているだけで、彼女も女性なのだなぁ、とふと思う。
そして、そんな遥は…とても可愛らしかった。