遙かなる時空の中で
□限りなく愛に近い憎しみ
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【限りなく愛に近い憎しみ】
―――油断した。
「くっ…!!」
それは、いつも見るような怨霊と少し違って。
そう。"人の思念の塊"というのが、一番近い表現かもしれない。
攻撃する術を持たないのか、始めから少し離れた位置でただうごめいているだけだったそれの浄化を、私は後回しにしてしまった。
武器を持って攻撃してくる怨霊が先。何故、そうしてしまったのだろう。
いつも見るような怨霊と違う、外見も気配も。その時点で真っ先に倒すべきだったのに。
「望美っ!!!」
「っ、神子…!」
―――私は、その怨霊に呑まれてしまった。
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