オリジナル(ホラー)
□桜の木の下
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香奈は道路わきに咲く立派な桜の木を観に来ていた。
そこにある一本だけの桜の木は立派だが、観るたびにさびしそうだなと感じていた。
しかし、桜の季節だけはそんなことを思わない。
凄いなぁ。香奈は桜に夢中になっていた。
「毎年のことながら、とても綺麗ですよね。」
いつのまにか香奈の隣には一人の女が立っていた。
「私は毎年見に来てるんですよ。あなたは?」
香奈は桜に目が釘付けになっている女の横顔を見つめながら答えた。
「私も毎年見に来ています。何かこの木って他の桜の木と違うような気がして。」
「それはそうよ。この木にはこんな話があるんだから。」
そう言って女は話し始めた。