オリジナル(ホラー)
□第弐話〜中庭〜
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中庭の端に木を植えても育たない。
私の高校の中庭には何本も木が植わっています。
そこそこ歴史のある高校のため、ほとんどの木は高さ5mを越えるような立派な木になっています。
しかし、中庭の南側はなぜか木の育ちが遅く、木を植えるのに一番よさそうな日当たり抜群の場所の木にいたっては、私が高校生だった頃もあまり高くなく、ひょろひょろの幹で葉は常に枯れかかっていました。私の友人の生物部部員が原因を調査していましたが、科学的に説明することができずあきらめていました。
この木の話題をしたときに、第壱話の話をしてくれた友達が「あの話は続きがあってね・・・」と教えてくれました。
あの飛び降り自殺をした先生の死体があった場所こそが、この育たない木の所だったらしいのです。
新南館建設直後、何を意図したのかは分かりませんが、死体のあった場所を含む中庭の数か所に植樹したそうです。しかし、他の木は全て根付いて成長し始めたのに、この一本だけが成長が早い段階で止まってしまいました。
実を言うと、他にも木や花を植えてみたそうなんですが、いまだに一つも成長した植物はないそうです。