簪お静シリーズ
□蒼月の夜桜
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お静は辰三の後に続いて札を買おうとしたが、両替の男はまだ子供であるお静を相手にしない。仕方なく辰三に、
「一枚だけ貸して」
と呟くと、
「ちゃんと返せよ」
と言って一枚放ってくれた。
「入りました」
掛け声がかかると、白い板の上には札が並べられる。辰三が半と言って札を置いたので、お静は、
「丁」
と白い板に札をたたきつけた。周囲からどよめきが走る。お静の幼い声が場にそぐわないからだ。
壷が開けられると、賽の目は一と三。
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