池田屋24
□酉の刻
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時の鐘が、一日の終わりを告げる……。
西の空の薄明かりが闇に混ざり、人々が家路を急ぐ中で、山崎は四条を目指していた。
そういえば、朝お嘉と食った握り飯以来、何も口にしていないことに気づいた。
こういうことは、多々ある。
寝食を忘れて動くときは、自分で思っている以上に体に負担をかけている。
このままお嘉の家に行けば、何か食わせてもらえるだろう。あの家には、食い物だけは充実している。お嘉の懐具合の充実からなのか、たまに滅多にお目にかかれない菓子なども貰うことがある。
腹が減っては戦はできない。とりあえず、腹の足しと、進展があれば良いのだが……。