池田屋24

□卯の刻
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 夜明けの陽光が、高瀬川の水面にさしかかる。
 桝屋の裏手に回った隊士は、ぼんやりとその光景を眺めていた。

 彼は、京の倉の状況を理解する術を身につけていなかった。川に面した裏口に、扉が一つある。ただの裏口だろう。もしかしたら、桝屋の主人が逃げ込んでくるかもしれない。そんな程度にしか考えていなかった。
 この裏口が重要な鍵となっていることを知るには、まだ少し時間がかかる。

「おぅい、帰るぞ」

 上り始めた朝日に欄干を煌めかせている橋の上から、隊士が声をかけてきた。
 もたもたしていると、武田が煩いだろう。何も疑問を持たずに、呼んでくれた隊士の方へ走り出した。
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