novel
□初めましての君に
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「…えっと…驚かせてごめん…」
俺がそう言うと、彼はにこりと微笑んだ。
「いや、大丈夫だ」
栗毛色のくせ毛に凛々しい目元、上品かつ凛とした顔立ちだ。
光をあまり通さない、深い紅の瞳が、俺を見つめる。
そう考えただけで顔が熱くなるのが分かった。
「…夢で見た人…」
「え…?」
彼は驚いたような顔をし、俺は顔から火が出そうなくらい真っ赤になり、慌てて目をそらす。
やってしまった…!!
思わず声に出てしまった…
ああ、なんて馬鹿なんだ…きっと変な奴だと思われた……
「…俺も君のこと、夢で見たんだけど…」
「…え?」
思ってもいなかった一言にすっとんきょんな声が出る。
視線を戻すと彼の笑顔が見えてまた、赤くなった顔を隠すようにうつむいた。
「夢の中で会って、また会いたいって思ってた。夢だからって諦めてたけどまさか本当に会えるなんてな。」
そう言ってまた、無邪気に笑う。
「…俺も」
そんな彼と、もっと、話してみたいと思った。
視線を彼の方に向け、深い紅の瞳を見る。
「俺も、もう一度会いたいって、思てた。」
彼が嬉しそうにふわりと微笑んだ。
「俺は神童拓人。君は?」
俺も神童に負けないくらい、笑ってみせた。
「俺は霧野蘭丸。」
「はじめまして、また会えたね」
俺は、
はじめましての君に、恋をした。