novel

□trick or treat?
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10月31日。
今日はハロウィンだ。
ポケットに忍ばせた飴を思い浮かべる。
神童のことだからきっと、ハロウィン用にお菓子なんて用意していないだろう。
さて、どんな悪戯をしてやろうか。
そんなことを考えていたらなんだか面白くて、笑みがこぼれた。

いつものように神童の部屋に入る。
部屋にはハロウィンの飾りはおろか、無駄な装飾品も一切なかった。
この様子ならば俺がお菓子を求めるなんて思ってもいないだろう。
早速ポケットにしまっていた飴を手のひらに載せ、神童に突き出した。
神童が一瞬、不思議そうな顔をした。
「トリックオアトリート!!」
そう俺が高らかに言うと神童が不意打ちを食らったような顔で
「え、」
と小さく呟いた。
やった、俺の思い通り…と思った瞬間。
「Trick yet tread.」
神童が流暢な発音で何かを呟く。
「…は?えっと…いえす?」
とりあえず返事をした瞬間。
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