novel

□星に願いを
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7月7日。
今日は七夕だ。
七夕とは、天の川を挟んで離れ離れになってしまった織り姫と彦星が1年に1度だけ逢える日のこと。
まあ、俺はそんな話、どうでもいいのだが…
「うーん…」
目の前に立ちはだかる笹。
ここは神童家の一室…だよな?
お洒落な洋室に不似合いな笹を見上げる。
結構背が高いな…
というか、確かに今日は七夕…だが、神童が笹を飾るとかあり得ない…と思う。
ちなみに神童は今、紅茶を入れに行っている。
あの神童が七夕祝うとか子供っぽいことするなんて…意外。
せっせと笹を飾りつける神童の姿を思い浮かべたがどうもおかしくて笑ってしまった。
「どうしたんだ、霧野。そんな所に突っ立って。」
「うわああああっ!!?」
不意打ちで声をかけられ、慌てて振り向くと神童が立っていた。
「あ…驚かせてすまない」
「い、いや、大丈夫…っていうか、この笹…どうしたんだ?」
神童が笹を一瞥する。
「ああ、こいつか。この間、久々に庭の竹の手入れをしたらしくてせっかくだからって飾っておいてくれたみたいなんだ。」
「なるほど…」
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