本棚(月影)

□草食動物vs単細胞!!
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----------Side.蛍----------



飛雄と元通りの関係になれて数日がたった今日…

飛雄が僕の家に泊まりに来る。

今日は土曜日な訳だから、当然明日は日曜日。

しかも、明日は珍しく部活は休みで…せっかく丸一日休みなのだから、少し遠出デートをしようということになったのだ。

遠出するなら朝も早いだろうということで、今日のうちから飛雄が僕の家に来るという訳だ。

今日の部活は昼過ぎには終わったのだけど…一緒に僕の家に帰ってくるのかと思った飛雄は、なにやら用意があるとかで一度家に帰ってしまった。

お泊りに必要な着替えやらなんやらは、一式僕の家に置いてあるんだから、今更用意も何もないんじゃないかと思うんだけど…

まあ、飛雄には飛雄の考えがあるんだろうし、僕は大人しく飛雄が来るのをこうして家で待っている。

飛雄が僕の家に泊まりに来るのなんて、今までも何度となくあったけど…

今日は、少しだけ事情が違うんだよね。

実は今日…親は帰ってこないんだ。

昨日の夜から、旅行に行ってしまったから…

なんでも、母親が商店街の福引で温泉旅行をあてたんだって。

僕も行かないかと誘われたけど、部活もあることだし…

なにより誘われたのが、飛雄と別れ話どうこうで最悪な状況の時だったから、僕に行くという気力がある訳もなく…

結果、両親2人だけで温泉へと行ってしまったのだ。

今日は飛雄とこの家に、2人きり…

はたして僕は、ちゃんと我慢できるのだろうか…?

そりゃ…今までは、親が下にいようが飛雄に手ぇ出してたけど…

親がいないというのはそれだけで解放感を感じるし、家に僕ら以外誰もいないというのには、とんでもなくドキドキさせられる。

だけど…

飛雄に手を出さないと宣言してしまった以上、その飛雄の信頼を裏切ることなんてできる訳ないし…

なにより、飛雄を傷付けることなんて、僕自身許せない。

絶対…

我慢だ。

飛雄のこと愛しているからこそ…

僕は、飛雄に触れてはならない。

…大丈夫、大丈夫。

飛雄への愛で、僕の醜い欲望なんて封じ込められる…はず。

だって僕…もう君のこと、泣かせたくなんてない。

今まで、僕のせいで散々君を泣かせてしまったから…

これからは、僕が君を笑わせてあげたい。

君には、笑っていてほしい。

そりゃ、泣き顔だって可愛い君だけど…

やっぱり、笑った顔が一番…デショ。




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