君との世界

□家族と涙
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エースside


あの惨劇が終った後
アキラは直ぐに医務室に
運ばれた。


どうして、アキラは
ああなってしまったのか。
それは、まだ誰にも分からない。


甲板に行くと、皆が
死体や肉片を海に葬っている。
嫌な臭いが、充満していて
思わず吐きそうになる。


――これを、アイツが一人で
やったんだよな…。


牙を出し、狼のような爪で手刀を使い、血に染まった様な赤い瞳。
本当に、別人のように思えた。



「……!マルコ…。」

「………エース。」


甲板の端で、同じように
この光景を見つめていたマルコ。


「……………俺は、俺達ァ、
兄貴失格だねぃ。」


ポツリと、切なそうな笑顔で
呟いたマルコ。


「……アイツぁ、自分の身を捨ててまで親父を守ろうとしてた。
だが…俺達ァなんだ。何も出来ずに見ていただけだ。」


「…………マルコ…。」


「………『妹』に、辛ェ事させちまったよい……!!」


フッと、下を向いたマルコから
水滴が落ちる。


俺は、唇を噛み締め、
アキラの居る医務室へと
向かった。
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