君との世界

□鬼の血
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「なぁ…エース。俺達は、
悪夢でも見てんのかよい。
ありゃあ……………。」


額から汗を流しながら
マルコは呆然と見ていた。

マルコだけじゃない。
親父すら、何も言わずに
アキラを見ていた。


「………夢でありゃあ、良かったのにな。」


――これは、現実だ。


そう言えば、あいつ
前に言ってたっけ。



―――『私の一族は、鬼の血を引く家系なんだって!!』


まさか、そんな事は有り得ない。
と思いながらも、
俺は思わずにはいられない。



―目の前に居るのは…本物の鬼だ


次々に、敵を殺していくアキラ。
血を浴びて、もう何がなんだか
分からない。


―――アイツを、止めなきゃ。


そう考えた時には
俺の体は、勝手に動いていた。


「アキラッッッ!!!」


最後の一人を殺そうとしていた
アイツの手を掴む。


グッグッ!!と力をこめて
手を振り解こうとするその力は
物凄いものだったが、俺は離さない。

バッ!!と、アキラが
振り回した手が俺の頬に
かすって血が出た。



「―ッ…!!アキラ!!!!!」


ビクッとして、
振り返るアキラ。


『……エー……ス……?』

その瞳は、いつもの焦げ茶色
では無く、赤い瞳。
口元には牙が生えている。


『……わた…し、何して…』


ガタガタと震えるアキラは、
どうやらようやく、自我を取り戻した様だった。


「………。アキラ、大丈夫だ。もう、大丈夫。」


俺はそう言って、
アキラを抱きしめるしか
なかった。


エースside終わり
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