君との世界

□鬼の血
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ボロボロになりながら、
敵の前に立つ私の後ろには
殺気だった親父の姿。

『親父………。』


「グラララァ。アキラ、
死んじゃあ居ねぇなァ…」


ピリピリとした空気が
流れる中、敵の者達は
意識を失う物もいた。


「…クックックッ…!!
ようやく、お出ましか白ひげ!!」

「鼻タレがァ…おめぇ、ウチの娘に何してくれてやがる…」


親父の覇気に、かなり
怯えてはいるが
怯むことはなった。


「こ、この女とテメェの首を
交換するって、話さァ!!!!
さぁ、どうする!白ひげェ!!」


すると、ニヤリと
親父は笑った。





「俺を撃てェ」


「『!?!?!?』」


ドカッと床に座り込む親父の姿に
皆が驚く。
退ける気など、本当に無いようだ。


『ま、待ってよ、親父!!!
撃たれるだなんて、そんなの…!!』

「アキラ。」

親父の低い声に思わずビクッと
体が動かなくなる。


「…長ェ髪が、勿体無ェなぁ…。俺達の為に、そこまでする必要は無かった…グラララ。
だが、短ェのも中々似合うぞ。
グラララァ!!!!」

グッと、涙がこみ上げる。

『親父っ…わたしッ…』

「大丈夫だァ、アキラ。」



―――俺ァ、死なねぇ。


ニヤリと笑った親父の顔は
余りにも優しくて、男らしかった。


「さぁ、若僧。撃て。」

「ククッ…随分余裕ぶってるがよォ、この銃弾には、海楼石が含まれてんだ。」


『な!!!!?』

「……手ェこんでるじゃねーか」

「この銃弾で、てめーの心臓
ぶち抜いたらどうなんだろうなァ?」


ニタリと笑って
男はゆっくり、引き金を引く。
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