テニスの王子様

□【跡宍】君の傍に居たいから
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俺は、お前に見てもらう為なら何だってする。たとえ、不可能だと言われても、俺はお前に見ていて欲しいから。




「ゲームセット!!ウォンバイ 不動峰 橘 6−0」

「今後、宍戸は正レギュラーから外せ」

「もちろんです」




嘘だ…全部嘘だ!……そんな…俺が、負けるなんて…。
その時、俺は何を思って叫んだだろう。
橘への恨み?レギュラー落ちの屈辱?砕けたプライド?醜い自分?
どれも違う…。


「宍戸先輩、これ以上は」
「煩せぇ、黙って続けろ」
「…………」
正レギュラーから落ちて、俺はすぐに特訓を開始した。
全てを取り戻す為に…!


ある日、鳳が特訓中に呟いた言葉…。
「宍戸先輩は、本当にテニスが大好きなんですね」
「…………」
俺は何も言わなかった。
ゴメンな鳳。
鳳は、きっと憧れの先輩に善意で協力しる。頼られたんだから、期待に答えなければ…と。
でも、違うんだよ。俺は、そんな綺麗な奴じゃないんだ。
全部、俺の我がままなんだ。

俺は、正レギュラーに戻る為の力が必要なんじゃない。
正レギュラーの力が必要なんだよ。
跡部の傍にいるには、この力が必要なんだ。
俺は、ただ跡部の傍にいたいだけ。
アイツに、見て欲しいだけ。
だから正レギュラーに戻らないと…。


俺が橘に負けた時、奴は俺を簡単に捨てた。
分かっていた。
俺だって負ければ捨てられることぐらい。でも、願った。捨てないでくれ…と。
鳳、俺はお前を利用してるだけなんだ。
いや、お前だけじゃない。
テニスも、俺にとっては跡部と一緒に居る為の…。
鳳が尊敬する「宍戸先輩」なんて、ホントはいない。
跡部の傍に居る為に、どんなことだってする汚い俺しかいない。
俺は、絶対に戻る。
誰が、どう犠牲になろうと。俺は、跡部の元に戻る。
強くなれば、正レギュラーに戻ればまた跡部は俺を見てくれる。
だから、もう少しだけ手伝ってくれ鳳。


「跡部……待ってろ。俺は、かならず…」




☆END☆

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