貰い物

□小さな恋・・・?
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設定:学パロ

10月のはじめの土曜日、レビィは同じクラスのジュビアと志望校のオープンスクールに参加した。
普段、中学校までは家から歩いて通っているので、制服を着て電車に乗って高校に行く、というだけでも新鮮だった。
二人の所属する吹奏楽部は他校との共演することはあっても、
会場はコンクール同様どこかのホールや野外ステージで行われることが多かった。
だから運動部のように他校に行く機会のない二人にとって心躍る体験だった。
そしてこの日は、レビィにとって生涯忘れられない一日になった。

「いいお天気ですね」
電車の中。
つり革をもって並んでいるジュビアが、車窓に映る青い空を見ながらつぶやいた。
「うん。晴れてよかったね」
「ジュビアはもう雨女じゃないですから」
ジュビアが得意げに応えた。
「あ、そうか。ジュビアはグレイと付き合いだしてから、雨女じゃなくなったんだよね」
「ええ。ウフフ」
ジュビアは、2年間片想いをし続けた相手、同級生のグレイと、3年の夏休みから付き合うようになったのだ。
サッカー部員のグレイの引退試合の日に、勇気を出してジュビアが告白した結果、
あっさりとグレイもその想いを受け入れた。
ジュビアがグレイに想いを寄せているのは、元より周知の事実だったので、どうやらグレイの方も気になっていたらしい。

レビィはジュビアの幸せを誰よりも喜んだ。
しかし「好きな人」のいないレビィにとっては、ジュビアの気持ちが今ひとつピンとこない部分もあった。
例えば、
「ジュビア、中間テストの平均が上がったんです!!絶対グレイ様のおかげなんです!!」
「そ、そうなの?」
「グレイ様のことを考えながら勉強したら、眠くならないので、頑張れるんです」
「え?ジュビア、身体大丈夫?」
「大丈夫です!愛の力がジュビアを支えてくれていますから!」
などと熱く語るジュビアに圧倒される始末。

レビィは考えてみた。
好きな人がいたら、勉強に打ち込めるものなのかな?
私だったらドキドキして、勉強が手につかなくなりそう・・・
今は好きな人がいないから、よかった。
男女問わず誰にでも優しいレビィに想いを寄せる男子も少なくないが、
レビィ自身、恋というものに奥手なところがあるのかもしれなかった。



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