プレゼント

□夜明け前の光の在り処
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夜明け前の光の在り処
【1】




ハロウィンといえば、お化けかぼちゃ、ジャック・オー・ランタン。

ハロウィンといえば、トリック・オア・トリート。

ちょっとホラーで遊び心をくすぐる行事。

人々が仮装をするのは、悪霊を驚かせて追い払うため。

10月31日は、ケルトの人々の間では霊が人間に近づく日とされていた。






10月27日、ハロウィンまであと4日と迫ったその日、俺は不二と一緒にハロウィングッズが売っている店へとやってきていた。

ざわめく店内は橙色と黒色で埋め尽くされていて、商品が遊び心いっぱいのレイアウトで並べられている。


「これとかどうかにゃぁ」



俺はパンプキンランタンを手にして傍らを見た。

今月の末に不二とハロウィンパーティをする計画を立てていて、今は準備期間中だ。



「あれ…? 不二ぃ?」


周囲を見渡して恋人を探すと、キャンドルが飾られている前に立っている姿を見つけた。




「不二? なんかいいのあった?」


視線の先にある商品が気になるのかと思って眺めてみたけれど、どれなのか分からず、再び不二に視線を向ける。


「不二?」



顔を覗き込んだ瞬間、鋭い視線が飛んできて、思わずビクリとした。

氷の刃みたいに冷ややかな眼光。

言葉に表せない恐怖が背筋を這い上がり、冷や汗が浮かぶのを感じる。


さっきまではあんなに優しい顔をしていたのに…何で。



「不二…ど…したの…? 不二」


そろりそろりと問うと、不二は我に返ったようにハッとして、色素の薄い瞳で俺を見つめた。



「ごめん、ごめん。何、英二」



不二はいつもの温和な笑みを浮かべると、絹糸のように綺麗な薄茶の髪を耳にかけて問いかけた。



…毎年この時期になると、1つのことが気に掛かる。

ハロウィンが近づくにつれ、不二の様子がおかしくなってゆくのは何故だろう…と。


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