小説 (大人向)
□架空体験
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架空経験(8)
「んっ〜〜〜っ」
にちゅ
くちゅっ…
小さく動かしても激しく擦りあげても、同じように卑猥で湿った音が耳を刺激する。
握り締めた部分の皮と皮が擦れる度に虫の鳴く様な声が喉を突いて出る。
熱い熱が、血が一箇所に集まり、敏感になった部分が自分の体ではないように感じる。
本能のままに擦り更なる刺激を追い求める。
右手の中で熱を零す自身を扱き、左手で最上級の刺激を求め先端を指の腹でぐりぐりと押すと、体中を甘い痺れが駆け巡り射精間がぐっと押し寄せた。
「ひァ…ァッ」
同時にトロリと少しだけ体内から漏れ出た精液が、また指や掌に絡み益々卑猥な音を奏でる。
「アッ…ッ、はぁ…」
「いやらしい子…」
また不二の言葉が同じように英二の耳を侵す。
学校や部室で立ったまま行為に及ぶ時きまって不二は英二自身を弄りながら耳を嘗めあげ、舌を差込み、その音と自分の声で英二を刺激する。
耳朶を嘗められるだけでも足が覚束無くなるのに
嘗められ、
舌を差し込まれ
あの声を息を吹きかけられ
低音で囁かれたのでは一溜まりもない。
だからわざとそれを思い出した。
早く楽になりたい…。
なのに、自分で擦るだけではそれ以上の快楽の波がやってこない――…。
「な…でぇ?」
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