小説 (大人向)
□架空体験
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架空経験(6)
だってここは俺の部屋で二段ベットの上。
下のベットで寝る兄は、今日は夜勤で明日の昼まで帰ってこない…。
両親が見ているのであろう、大きな音のニュース番組。
その聞き慣れた司会者の声。
ここは俺の家で、
ここは俺の部屋で―…
でも…、
でももう頭の中は不二でいっぱいだった――…。
「いい子だね英二…。今日は随分聞き訳がいいね…」
開いた足にあった己の手が、熱く既に先走りの蜜を滴らせるものへとパジャマを押しのけ、下着を持ち上げ直に伸びる。
「あ…ぁっ!」
瞼を閉じているせいか自分が思った以上にもう硬くなりヌルヌルとしたその感触に驚き、想像以上の声が出てハッとして口を閉じた。
家族に聞かれちゃう…。
ぎゅっと強く瞼を閉じ、それと同じように口も噤んだ。
それでも直で握り締めた熱とぬめる感触に声を上げてしまいそうになり、英二は仰向けだった体勢をかえ横へと向きぐっと膝を抱え胎児のように身体を丸めた。
「ん…んんっ」
自らの手を離してしまえばいいのだろうが、それが不二によって握られたものだと、そう思うと何故か離せないまま姿勢をかえた。
静かで真っ暗な闇の中にこの部屋ではありえない音が響く…。
ニチャッ
クチュッ…
「ぅあ…っ」
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