小説 (大人向)
□架空体験
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架空経験(5)
どうやっていつも不二は、自分を愛してくれていたっけ…?
毎夜毎夜愛された躯だからか、やはりまた想像で不二の吐息を思い出しただけでいってしまいそうになる。
「…ぃ、や、不二っ!」
自分の体に現実触れもしない不二の名が、自分で弄っているのに頭の中では不二に少し乱暴に性器を弄られてる自分を想像し、思わず口から彼の人の名前が当然のように零れた。
恥ずかしかった…。
でも俺は不二しか知らないし、
不二以外の名前なんて出てこない…よっ。
それを口火にもう火がついた躯と思考はどうにも止められなかった。
瞼を閉じ、真っ暗な闇の中。
頭の中で不二が俺にいつもみたいに微笑む…
「英二もっと足、開いて…?」
いつもは少し冷たく感じる指先
けど行為に及ぶ時だけ少し汗ばむ不二の掌。
そのしっとりと自分の肌に馴染む掌が、俺の内太腿をグイと強く押さえ込む。
「ふ…じっ」
幻影の不二に誘導され足を開く。
気持ちよくして欲しくて
早くこの高鳴る心音を静かにして欲しくて――…。
自ら投じた真っ暗闇の世界で自らの足をゆっくりと開いた。
現実世界
そこには当然誰も居ない。
。