文*跳

□見てんじゃねーよ。
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朝、教室に入ってすぐ。
授業中。
休み時間。
放課後。

最近、あいつとよく目が合う。
なんだろ、気づいたらあいつ、こっち見てんだ。
俺のこと…見てんのかなぁ。
なんかしたっけ?

あ、また目ぇ合った。







「見てんじゃねーよ。」







いきなり、言われた言葉。
え?

間抜け面をしていたらしい俺。
目の前まで来た獄寺が、怪訝そうに舌打ちをする。

「なんでてめぇはこっち見てんだよ。なんか用があんのか?ハッキリ言え野球バカ」

「…へ?いや、獄寺がこっち見てんじゃねーの?」

俺の返答に、また舌打ち。

「ボケてんじゃねーよ。てめぇの視線が気持ち悪くて仕方ねー、なんもねぇならやめろ」

そういうと、もう一回舌打ちをして自分の席に帰って、寝始めた。



…あいつが見てたんじゃ、なかった?

あいつは、視線を感じて振り向いただけ。
見てたのは、あいつじゃなかった。
俺が、あいつを見てた。


そう気づいたら、なんだか寂しくなった。
…なんでだ?
よくわかんねー。

…まぁいいや。


あ、また俺、獄寺見てた。
ほんとだったのな。









end.
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