文*跳

□大好きだから。
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あなたのことが、大好きで。

「十代目!」

あなたのことを、守ってさしあげたくて。

「獄寺君!?」

あなたに、嫌な思いをさせたくなくて。





あなたのことが、大好きだから。





ぼーっとした頭に、優しい声が響く。

「獄寺君!?獄寺君!?大丈夫!?」

少しだけ目を開けると、そこには愛しい主の姿。
その目は、少し潤んで…心配の色に染まっている。

「じゅ…だい…め…」

いかがなさいました!?そう言おうとしたのに。口からは、情けない声が漏れただけ。
情けない、俺。

「獄寺君!!」

俺の声を聞いて、十代目は、涙をこぼした。
ああ、どうか、泣かないでください。

「十代目、いかが、なさいました…?」

やっと、声がでた。まだ情けないが、言葉になっただけましだ。

「いかが……じゃないよ!!大丈夫!?」

十代目が、お怒り?…ではない。俺を、心配してくださっている。

「大丈夫ですよ。こんなの…つばでもつけときゃ治ります。」

十代目を危険から守れた。そのことの方が、重要です。
にかっと笑って、十代目を安心させる。

と同時に、痛みが走った。

「…ッ!」

「!!大丈夫じゃない!痛いんでしょ!?」

十代目、なんて鋭いんでしょう。
すぐに気づかれてしまった。
強い口調で、俺に言う。

「平気です。ご心配なさらないでください。」

でも、痛みも笑顔の下へ。
どんなに痛くても、痛くないふり。
あなたに心配をかけたくないから。

大好きだから。
あなたが、大好きだから。



あなたのことが、大好きで。

  だから、俺を嫌がらないで。

あなたのことを、守ってさしあげたくて。

  だから、俺は無茶をする。

あなたに、嫌な思いをさせたくなくて。

  だから、あなたに嘘をつく。


あなたのことが、大好きだから。





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2008.9.16.

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