□全部お前のせい
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「……もしかして、これのせいで学校休んだのか?」

「え、あ、おん…?」

「………」


質問の意図が掴めず首を傾げながら頷いた忍足の頬を、思いっきり摘まんでやった。
柔らかいそれは、意外と伸びてちょっと面白い。


「いひゃいいひゃいっ…!けぇひゃ、いひゃいっ」

「下らねぇことで休んでんじゃねぇバカが」


バチンと音がするくらいの勢いで手を離すと、赤くなった頬を擦りながら忍足が睨みつけてきた。
でも涙目で睨まれても全く怖くない。


「下らないことやないもんっ!ケーキ作って、景ちゃん驚かして喜ばして、二人で祝いたかったの!」

「ハッ、料理出来ねぇくせに」

「そ、そうやけど…!」

「ケーキごときで喜ぶかよ。ガキじゃあるまいし」

「……うぅ…」


グスグスと鼻を啜り、今にも泣きそうな忍足に溜め息が出た。
この頭が少々弱いバカには、どうやら最後までキチンと口にしなければ分かってもらえないらしい。


「わざわざ学校休んでまでとか、そんなんされても嬉しくも何ともねぇんだよ」

「……ごめんなさい…」


しゅんとしてしまった忍足。
その姿は随分と小さく見える。
内心面倒くさく思いながらも、どこか憎めない自分もいる。


「……別に、ただ一言、祝いの言葉くれりゃあ十分だ」

「え、でも、メールで…」

「へぇ?お前は大切なヤツの誕生日を、メールで済ますのか」

「ち、ちがっ…!」


慌ててブンブンと首を横に振る忍足の腕と取り、グイっと自分の胸は引き寄せた。


「けぇちゃ!?」

「……何か言うことは?」

「…!!誕生日おめでとっ、景ちゃん!」


満面の笑みを見て、漸くイライラが消えていく。

0時ちょっきりに来るメールも、
下手くそなケーキも、
サプライズバースデーも、
何もいらない。

ただ一言、
おめでとうって言ってくれりゃあ


それだけで十分だ。



FIN
遅くなってしまった…!
誕生日なのに忍足に会えなくてイライラしている跡部を描きたかったんですが、伝わったでしょうか…

遅くなったけど、跡部くん誕生日おめでとう!


→おまけ
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