□sweetly
2ページ/2ページ


「そう?なら、俺もう帰るで?」

「……!」

「ほな、支度するわ」

「ウソ。飯、一緒に食いたい」


キッチンに戻って来てギュウっと後ろから抱きついてきた景ちゃん。
肩に顔を埋めてボソッとそう呟いた。
俺は緩んでしまいそうになる口元を必死に引き締める。


「じゃあご飯食べたら帰るな?」

「……こーさん。もうイジメんな」


唇を突き出してムッとした顔をする景ちゃんに、俺は堪え切れず吹き出してしまった。


「あんまからかうなよ」

「ごめん、やって景ちゃん可愛ぇから」

「可愛いのはお前だろ、バカ」

「……アホ」


景ちゃんはたまに不意打ちで恥ずかしい事を言う。
それも無意識だから性質が悪い。

赤くなった顔を見られたくなく、俺は背を向けて目玉焼きを作ろうとフライパンを取り出した。


「待て」

「なん…?」


コンロに火を掛けようとした手を、景ちゃんに止められる。
言いたいことが大体分かるため、苦笑しながら景ちゃんの方に向き直った。


「飯も良いけど、その前に渡すもんあるだろ?」

「もう、ご飯食べ終わるまで待てへんの?」

「待てない」

「しゃあないなぁ、もう」


昨日こっそり冷蔵庫に入れておいた、お目当てのものを取り出す。


「はい、どうぞ」

「サンキュ。お、トリュフだ」

「味の保障はあらへんからな」

「イヤ、美味そうだ」


嬉しそうに笑いながら一つ取り上げて食べようとした手を、パシッと叩いた。


「ご飯が先やろ?」

「……良いじゃねぇか、別に」

「えぇの?折角食べさせたろう思たんに」

「!早く飯にするぞ!」


そう言うや否や、俺からフライパンを取り上げて朝食の準備に取り掛かった景ちゃんは、もう子供そのものだ。
呆れたように笑いながらも、俺はそんなとこも好きだなぁと思う。


「景ちゃん、」

「ん?」

「だいすき」

「俺も大好きだぞ、侑士」


一瞬キョトンとしたものの、すぐに景ちゃんは綺麗に笑って、お返し楽しみにしてろよっと言った。

景ちゃんの傍にいられるなら、お返しなんていらない!



FIN
ゲロ甘になってしまった…
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ