□恋が愛に変わるとき
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きっかけはよく覚えていない。
いつの間にか好きになっていた。

自分の気持ちに気付いたのは中学1年の頃。
そのときからずっと密かに想い続け、気が付いたら高校3年になっていた。
我ながらよくもまぁ、飽きもせずただひたすらに想い続けたものだと思う。

臆病な俺は嫌われるのが怖くて。
テニス関係など事務的な会話以外で跡部と話した回数は片手で数えられるくらい。
普段から仲の良いジローや宍戸と楽しそうに笑っているのを遠くから見つめるのが精一杯。
俺と跡部の仲は、良く言えば部活仲間、悪く言えば只の顔見知り程度だ。

そんな俺を見兼ねて、俺の気持ちを知っている滝や岳人、宍戸が事ある毎にレギュラー陣全員でどこか遊びに行こうって提案してくれていた。
毎年行われていたクリスマスパティーだってそうだ。

それも今年はなくなってしまったけれど。



「そりゃ一緒におりたいけど…、パーティー中止なんやし、しゃあないやろ?」

「何で?一緒に過ごそうって誘ったら?」

「む、無理やって…!」


何でもないことのように言ってのける滝に、俺は首を激しく振った。
話したことだって少ないのに、自分から誘うなんて無理な話だ。
そもそも誘う理由がない。
わかっているくせに、滝はニコニコ笑いながら首を傾げた。



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