□感謝します!
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これには忍足も焦ったらしい。
いつもなら拒絶することなんてしないのに、少し抵抗してみせた。


「け、景ちゃんっ…」

「何だ」

「こ、ここでするん…?」

「嫌か?」

「そうやないけどっ」

「ならいいじゃねぇか」


そのまま事を進めようとすると、先ほどよりも抵抗する力が強くなった。


「せ、せや!俺、まだ景ちゃんにプレゼント渡してないっ」

「後で貰う」


そう言えばまだ貰ってなかったなと気付いたが、今はそんな事を気にしている場合じゃない。
こっちの方が大事だ。


「後って…、こっ、ここ部室やでっ!」

「………」


その言葉にハッとした。
そうだ、ここは部室だ。
神聖な場所だ。

昂ぶっていた熱が一気に冷めていく。

誕生日のせいもあてか、熱に浮かされていたらしい。
冷静さを取り戻し、忍足からそっと身えお引いた。


「景ちゃん…?」

「悪い、少し取り乱しちまった」

「も、しないん…?」

「イヤだっつったのはお前だろ?」

「ちゃ、ちゃうっ…本気で嫌やったわけやなくて、その…」


どうやら自分が抵抗したせいで呆れられてしまったと思ったのだろう。
上手く言えず、オロオロしながら言葉を探す忍足を再び抱き寄せた。


「大丈夫、ちゃんとお前もプレゼントも貰うから」

「ぁ、ぅ…」

「でも何つーか、今はこのままこうしていてぇ気分」

「け、ちゃ…」



あぁ、どうやらまだ熱に浮かされているらしい。
じゃなかったら、こんな事普段の俺が言う訳がないし。


「……景ちゃん、」

「ん?」

「誕生日、おめでと…」

「あぁ、ありがとう」


いつもと違う自分に驚き半分小っ恥ずかしさ半分だったが、耳まで赤くしながらたどたどしく告げる忍足を見たら、何だか全てどうでもよくなってしまった。

これも全部誕生日のせいだ。

忍足が可愛くて愛しくて仕方なく感じてしまうのも全部。


誕生日のせい。




FIN
皆に愛されている跡部君が書きたかっただけです(笑)
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