□不器用な愛情表現
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「その様子だと、まだ仲直りしてないみたいだね?」

「言われなくてもわかってんだろ」

「まあね。毎日愚痴られてるし?」

「………」

「そう怖い顔しないの。バレンタインは明日なんだから、それまで仲直りしてよね」

「……あぁ」


終始笑顔のままの萩之介は、頑張って!と言いながら俺の肩を軽く叩いて教室の中に戻って行った。

チラッともう一度忍足を見ると、ブスッとした表情で一瞬俺を見てすぐさま視線を逸らした。


「(ガキか、アイツは)」


下手に相手をして険悪な雰囲気にするのは利口なやり方じゃないと思い、ここは大人しく退散。
取り敢えず今日は早めに帰宅し、明日に備えておくようにしよう。

この俺が誰かの為に何かするなんて、少し前なら考えられないことだ。
もしかすると惚れた弱味ってのはこういうことを言うのかもしれねぇな。

なんて、柄じゃないことを考えていた。



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