□不器用な愛情表現
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三日後


「萩之介、このレシピでちょっと訊きてぇことがあるんだが」

「あぁ、これ?」


萩之介のクラスの入り口で、この間貰ったレシピのわからない部分を尋ねた。
料理はある程度出来るが、菓子類は一度も作ったことがない為、料理全般が趣味で得意な萩之介にこうやってアドバイスを貰っている。


「これは、空気を含ませないように混ぜるのがコツだよ」

「なるほど」

「ふふ、何だかんだ言って真面目に取り組んでるんじゃない、跡部」

「……うるせぇ」


クスクス笑う萩之介の肩越しに教室をチラリと見ると、萩之介と同じクラスである忍足と目が合った。
俺の視線に気がつくや否や、忍足はあからさまにプイッとそっぽを向いた。


「………」


アイツは怒るとやることがネチっこいし湿っぽい。
意外と子供っぽいことに気付いたのは付き合い始めてからだ。
部活中も不自然なまでに俺を避ける。
それに何か対処しない俺にも問題があるとは思うが、今までいい加減な付き合いしかして来なかった俺は正直どうして良いかわからなかった。



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