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俺と忍足は別に付き合っていない。
男同士だしあり得ないと言ってしまえば、それまでだけれど。

俺はこういう性格だし、何より束縛されるのが大嫌いだから特定の奴とは付き合わない。
いつも取っ替え引っ替えで、次々に新しい女に手を出す。
それを承知の上で楽しんでいる奴もいれば、彼女面をする勘違い女もいる。
今日みたいな馬鹿女のせいでイライラする日は決まって必ず、忍足の家を訪れる。
何故か忍足の傍にいると落ち着くし、苛立ちも不思議と消えていくからだ。

きっかけなんて忘れてしまった。
何となく成り行きで忍足と一緒に時間を共有し、それが今でも続いている。

飯を食って、風呂に入って、同じベッドで寝る。
別に触れ合う訳でも、ナニをする訳でもない。
本当に普通の時間を、二人で何となく過ごすだけ。
忍足も何も文句を言って来ないし、俺自身この時間を何気に気に入ってる為、暫くこの時間は続くと思う。

どちらか一方が、この関係に嫌気が差さない限り。


そんな事をぼんやり考えて睡魔が襲って来た頃、いつの間にか風呂から上がったらしい忍足が、もぞもぞと布団の中に入ってきた。

背中に忍足の温もりを感じながら、俺は夢の世界へ落ちて行った。



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