□とっておきの日
2ページ/5ページ



「けぇぇぇぇぇごぉぉぉぉぉぉ!!!」

「げ、」


猛獣と化した女子たちの群れを掻い潜り、こそこそ隠れながら生徒会室に逃げ込もうとしていた最中、後ろから不穏な音が聞こえてきた。

気付いたときにはもう遅い。

満面の笑みでダイブしてきたバカ(と言う名の忍足)を受け止めるしかなかった。


「えへへ、お誕生日おめでと!」

「アリガトウゴザイマス」

「熱い抱擁してくれるなんて、ロマンチックやね!景吾!」

「お前頼むから静かにしてくれ!」


折角猛獣どもから逃げ切れたと言うのに、大声出したらバレちまうだろうが!

そんな苦労を微塵もわからないバカは、キョトンとした顔で俺を見つめる。


「なんで?」

「何でって…、お前、あの猛獣の群れに居場所バレるだろうが」


マジで怖いんだぞ、アイツ等。
おめでとうございますと口では祝いの言葉を言ってるが、目が血走っててマジ怖い。
そして我先にとプレゼント攻撃してくるからな。
アイツ等ホントに俺のこと祝う気あんのか?


今朝からの戦況に背筋を凍らせていると、何を思ったのか忍足が目をキラキラ輝かせ始めた。


「それって俺と二人っきりになりたいってこと!?」

「は?」

「やって、女子たちにバレたくないんやろ?俺と二人っきりがえぇんやろ!?」

「イヤ全然違うんですけど」

「景吾俺のこと好きやもんな!」

「聞いちゃいねーよ」


もうイイや面倒くさい。
猛獣よりもバカの方が幾分マシだ。


「……今から生徒会室行くけど、お前も来るか?」

「景吾とならどこでもえぇよ!一緒にお祝いしよな!」

「……おう、サンキュ」


フニャフニャの笑顔を向けられたら、不覚にもホッとしてしまった。
ホント不覚だけど。

でも、まぁ、


「(何だかんだ言って癒されてるんだよな…)」

「ん?何か言うた?」

「別に」


認めるのが悔しくて、柔らかい頬を摘まんでやった。



FIN
ツンデレ×電波ちゃんでした
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ